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株主・投資家の皆様へTO SHAREHOLDERS AND INVESTORS

株主・投資家の皆様には、平素から格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

第54期(2019年4月1日から2020年3月31日まで)のご報告を申し上げます。

当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦による貿易量の減少と企業の投資活動の低迷に加えて、2020年1月から新型コロナウイルスの世界的流行により米国、欧州、アジアでの経済活動が停滞しました。米国経済では、良好な雇用・所得環境を背景に内需が底堅く推移していたものの、2020年3月に入ると消費者マインドが大きく低下し自動車販売台数が前月比約3割減となるなど不透明な状況が続いております。中国経済では、米中貿易摩擦の影響や新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動・生産活動の制限により大きく停滞しました。その影響で、自動車の生産・販売台数が前期比約84%に留まり、特に第4四半期には前年同期比で約40%減少しました。欧州では、米中貿易摩擦に伴う世界的な景気減速により製造業が低調に推移したことに加え、3月に入ると景気が大きく押し下げられ、自動車販売が前年同月比約55%減少と大幅に減少しました。
 わが国の経済におきましては、個人消費や設備投資を中心とした国内需要が増加し堅調に推移しておりましたが、消費税増税後は消費マインドが冷え込み、さらに新型コロナウイルス感染拡大により不透明感が一層強まっております。
 このような事業環境の下、当社グループの主力である車載市場の販売は、自動車の主要販売地である中国をはじめとして販売低迷の影響を大きく受けました。分野別にみると、カーオーディオやカーナビなどのカーAVN分野では、コックピット化やコネクティッド対応といった将来の変化を見据えた新たな製品開発を進めてまいりましたが、自動車販売台数の減少や自動車1台あたりのコネクタの搭載数量の減少により、減少しました。一方で、注力分野である安全系のADAS(先進運転支援システム)向けや電動化の進展に伴って新たに自動車に搭載されているパワートレイン向け等の販売については、市況が低迷している環境下においても好調を維持しました。ADAS向けの販売は、先進国の自動車販売台数減少の影響を受けたものの、車載カメラ向けを中心に新規搭載が進み前期比約5%増加となりました。パワートレイン向けも環境対応車の増加により前期比約50%増加となり成長を維持しました。
以上の結果、車載市場全体での売上高は337億2千4百万円となり、前期比92.0%になりました。
コンシューマー市場においては、OA機器向けやゲーム機向けなどで販売が総じて減少しましたが、第3四半期からテレビの自動組立用の新開発可動BtoBコネクタ製品の出荷が開始しました。以上の結果、コンシューマー市場での売上高は37億1千1百万円となり、前期比93.2%になりました。
インダストリアル市場においては、上半期は米中貿易摩擦を背景とした中国での設備投資抑制により販売が減少しましたが、下半期は回復傾向で推移し前期比で概ね横ばいとなりました。以上の結果、インダストリアル市場の売上高は21億7千8百万円となり、前期比99.8%になりました。
 なお、新型コロナウイルスによる第4四半期における売上高減収への影響は約9億円となり、地域別では中国を中心としたアジアで約7億円、欧州で約1億3千万円、北米で約4千万円、日本で約3千万円であります。
 以上の結果、売上高は前期比7.5%減の396億1千4百万円となりました。営業利益は前期比23.9%減の46億2千8百万円、経常利益は同26.2%減の46億6千8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同11.7%減の32億8千7百万円となりました。

次に今後の見通しについて申し上げます。
世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により企業活動・生産活動が著しく停滞しており、収束の時期次第では、さらなる悪影響を及ぼすと予想されます。新型コロナウイルスによる影響は、主力の車載市場において、2020年内の世界各地域での自動車販売台数が前年比約20%減少すると想定しております。また、インダストリアル市場でも市場規模が縮小すると想定しております。
 2021年3月期において、売上面では、このような想定を前提として、第1四半期までは現在の不安定な状況が続き、第2四半期以降は徐々に回復が進むと見通しており、売上高340億円(対前期比14.2%減)と見込んでおります。先行きが不透明であるものの、当社は、車載市場では、環境対応車の台数増加に伴って、注力して取り組んでいるパワートレイン向けの売上が増加すると考えています。また、コンシューマー市場では、新たにゲーム機やテレビ向けの自動組立対応コネクタの搭載を予定しており、その売上が増加すると見通しています。これらの当社特有の売上増加要因に加え、第2四半期以降の市況回復と相まって、2021年3月期後半には売上高が2020年3月期並みに回復し、2022年3月期にはさらに拡大すると想定しております。
損益面では、売上高が前年比14%強、低下すると予測しており、非常に厳しい中ではございますが、何としても黒字化すべく、原価低減、全社的なコスト削減並びに生産性向上につながる改善活動をより一層推進し、連結営業利益14億円(対前期比69.8%減)、連結経常利益14億円(同70.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益11億円(同66.5%減)を見込んでおります。なお、機動的な財務基盤運用を可能とするため、銀行融資枠(コミットメントライン)を拡大しております。為替レートは、108円/ドル、120円/ユーロを前提としております。
一方で、中長期的にみると、当社の事業領域である車載市場、コンシューマー市場、インダストリアル市場においては、自動車の電動化、ADASの進展、ロボット化、第五世代通信、いわゆる5G通信など、技術進歩が顕著であり、より一層高機能化された製品や新たな製品の開発が進むことが予想されます。
こうした状況の下(もと)、当社は、「顧客価値を創造する100年企業」を掲げ、長期ビジョンで「売上高1,000億円」に向けて売上拡大を図ります。これまでイリソは、自動車関連の事業拡大に注力してまいりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大は自動車産業に多大なる影響を及ぼし、当社としても大きなインパクトを受け、他の分野での補完ができず、2021年3月期の売上を340億円と見込んでおります。今後は、車載市場では、電動化やADASの進展に伴って成長が見込まれる安全系やパワートレイン系といった5つのアプリケーション分野への注力を緩めることなく、拡大させていきますが、ロボット関連や5G(通信関連についても市場が大きく拡大すると考えているため、これらにも注力していき、売上全体の中で、車載向けで占める売上の構成比を少しでも下げ、不測の事態が起こってもリスク分散できるように努力してまいります。また、将来の成長に向けてマーケティング活動を強化し、他社より先行したオンリーワン製品の開発を行います。生産面においては、生産リードタイムの短縮、徹底した原価低減並びにスマートファクトリー化による生産性の向上を図ります。
 管理面では、コーポレート・ガバナンスの強化、人財育成とダイバーシティ・マネジメントの推進、そして統合基幹業務システムでありますEnterprise Resources Planning 、通称ERPを含む情報インフラの整備を行い、経営基盤を強化してまいります。

株主・投資家の皆様におかれましては、今後ともより一層のご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

2020年7月
取締役会長 佐藤定雄
代表取締役社長 由木幾夫